あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
言葉短にそう言うと、漣は脚を絡ませキスをする。
「なら、俺からの連絡は控えるよ」
大事な時だもんね、と漣は笑う。
「会いたくなったらいつでもおいで。待ってるから」
「…分かった」
「白雪」
漣は起き上がり、私を見下ろしながら甘い声で囁く。
「好きだよ」
その言葉に私は一度も返事をした事がない。否、させてもらえない。
いつも漣は言うだけ言ってセックスへとなだれ込もうとするから。今だってそう。私の為に用意したと言うバスローブの紐を解きながら胸へと唇を這わせる。
それを思うと、先程まで考えていた事に急に自信がなくなってきた。私の答えを求めないと言う事は、やはり漣もこの体だけの関係を望んでいるのかもしれない。
好きだなんてただの前戯の一環で、所詮は都合の良いセフレでしかないのでは、と。
——涙の意味さえ、教えてくれたら…
そうしてくれたら、違うと思えたかもしれないのに。向き合う勇気が持てたかもしれないのに。
そう思いながらも、今夜も私は絆され熱に侵されていく。