あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
記念すべき2作目となるドラマの撮影は苦労した。と言うのも、ここ数日で分かった。とにかく私は如月美李亜という女と馬が合わないのだ。
彼女は萌葉の言っていた通り、台詞の言い回しだったり会話の中の間の取り方、表情の作り方まで、何においても微妙に下手なのだ。
私が演技派と呼べるほどの実力があれば違ったのかもしれないけれど、生憎私は新参者で合わせるのに精一杯。リテイクを食らっては頭を下げるの繰り返しで、心身共に疲弊していた。
そして今日も何度かカットがかかり頭を下げてようやくオッケーをもらい、罪悪感に苛まれながら衣装替えの為に部屋へ向かえば、先に訪れていた美李亜とエンカウントしてしまった。
「お疲れ様です」
礼儀として挨拶する。彼女にも謝った方がいいのだろうか、そう悩んでいると目の前から盛大な舌打ちが聞こえた。
「新人だか知らないけど、私の足引っ張んないでくれる?」
その顔は、先程までスタッフ陣に愛想を振り撒いていた姿とはまるで別人だった。
「白雪サン、だっけ。脚本家からの推薦って聞いたけど所詮は顔だけの女じゃん。おかげで撮影時間延長よ、こっちは無名のアンタと違ってプライベートも無いくらい忙しいってのに」
「…すみません」
多少理不尽な気はするが、キャリアは彼女の方が上。残念ながら私には歯向かっていけるだけの後ろ盾も実績も、何も無い。