あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
どうやら私は彼女から嫌われているらしい。薄々そんな気はしていたけれど、実際に敵意を剥き出しにされると今後ひどくやり辛いんだよな。
ため息をつきたい気持ちを押し殺して謝罪を述べれば、サイドに結い上げた髪を払いながら美李亜は私の後ろの扉へ向かって歩き出した。
「…グラビア上がりのビッチ風情が」
去り際にぼそりと呟かれた言葉にばっと振り向くが、すでに彼女はそこには居なかった。
「…こわ、」
流石にあの言い方は偏見が過ぎる。それに色んな方面にあまりに失礼だ。この業界にどれだけグラビア出身の有名人が居ると思っているんだ。
腹が立つ、とか悲しい、とかより恐怖が優った。彼女はあの腹黒さを表では綺麗に隠している。それが出来てなぜ演技はできないと言いたくはなるが、それだけ如月美李亜というキャラクターを確実に己の中で作り出しているのだろう。
あんなのとこれから数ヶ月もやっていかねばならないと思うと気が重い。
萌葉が如月美李亜に呑まれるなと言った理由がようやく分かった気がした。
けれどどんなに悩もうと、撮影は待ってはくれない。