ハッピーエンド・オーバー
あきくんはため息を落とすと、呆れた視線で私を見据える。

「言うわ。なあんで同窓会来ねえんだよ」

「仕事で忙しかったの!あきくんは毎回皆勤賞みたいだね?」

「そりゃあ美女に呼ばれたら行くしかないじゃん」

「そうだよね〜。私もイケメンに呼ばれたら行くしかなかったんだけどなあ」

「俺が誘ったのに」

あきくんは白々しく悲しがって、緩く微笑む。ていうか、今まで何度も機会はあったのに、あきくんから同窓会に誘われたことは皆無だ。

「ていうか、なんの用?」

「あ〜、そうそう。飯行こう」

ゆるく誘われても心が傾くことは無い。

行ける気力じゃない……。

会社のシャワーを利用したので清潔感は維持できていても、昨日と同じベージュのセットアップだし、メイクも最低限だし、なにより、今後嵩むであろう出費を考えると、浪費は好ましくない。

睡眠不足の思考回路でその誘いを咀嚼するには不可能で、軽率に「金欠だから無理」と返す。富裕層なあきくんにとって馴染みのない言葉だろう。

人生は七転八倒だ。

「奢る」

「肉!お肉が食べたい!」

「チョロ。肉ね、おーけー」

そして、転がってしまえば落ちるのは簡単だ。

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