ハッピーエンド・オーバー
状況を整理する私の正面で、あきくんは平然と続ける。

「同居する限り多少のプライバシーは共有し合うかもしれないけれど、第一に寝室は別々だし、俺の両親は海外移住してるから、はるに干渉することもない。危険な行為だけは止めるけど、基本、俺ははるを束縛するつもりはないから、最低限の衣食住と自由は保証する。どうよ」

それは今の私にとって贅沢すぎるほどの条件だ。

──もしかして、枢木晃仁、結婚相手としては最高では?

いやいやいや、何言ってるの!あのあきくんだよ!?

顔が良くて胸が大きい女の子とセックスするために俺は男に生まれた。そのための努力は惜しまない。と高一の時に宣言し、以降は宣言通り、顔がいい、または両方を兼ね備えた女の子とばかり付き合っていたような男だよ!?

まんまと流されそうになる感情を塞き止める。私は大人だからだ。尚、20代ならば耐えられた自信はない。

「え、でも、でも、待って。あきくんはそれでいいの?まだ考える時間は……」

「待ったよ。俺は充分待った。これ以上何を妥協したらいいの」

私の静止にあきくんが眉根を下げる。ああ、困惑しているのは私だけじゃない。あきくんもそうだ。眉を下げ、それでいてうっすらと、余裕なく微笑んでいるのだ。
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