ハッピーエンド・オーバー
食後は私がコーヒーを淹れた。インスタントのドリップコーヒーである。食器はすべて二人分揃っているなと思ったけれど、マグカップもそうだった。あきくんは来客用と説明してくれたので、これもまた、いつかの恋人用として購入したのだろう。
私は無条件に可愛いと思うけど、恋人用に羊のイラストは、ちょっと、趣味が悪いと思う。
「夕食は先に帰宅した方が準備する方がいいかな。朝食は先に起きた方が準備して、後片付けは二人で。ゴミ出しは先に家を出る方が出す。洗濯は各自にしよう。異論は?」
コーヒーを飲みながら、円満な結婚生活について簡単に意見を交わした。
「賛成。でも、私しばらく残業続きで絶対あきくんよりも帰りは遅くなるよ?」
「お互い様だし別に良いよ。仕事が終わったら毎回連絡すること、夕食が要らない時は早めに連絡をいれよう。あと、週末は一週間分の食材を二人で買いに行くか」
「一週間分を一日で買うの?」
「羽仁が実践してるからいけるだろ。仁菜だったら疑うけど」
名前が挙がった二人は、あきくんの妹たちだ。
「そっか、二人とも結婚してるんだっけ」
美男美女として近所で有名な枢木兄妹。妹二人はあきくんに似て可愛らしく、私によく懐いてくれた。性格も、仁菜はしっかり者、羽仁は甘え上手。特に羽仁はあきくんに似て、異性のみならずうっかり同性も惑わすような、爛漫さがあった。