ハッピーエンド・オーバー
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納期前だと言うのに比較的早く帰れた。新婚さんはすぐに家に帰りなよ、と先輩たちが気遣いをくれたのだ。お言葉に甘えて、少し残業をして残りは持ち帰ることにした。

仕事が終わりスマホを開くと、1時間ほど前にあきくんからカエルのスタンプが届けられてた。

ケロ、と吹き出しに一言、手を挙げたカエルのイラスト。

何この絶妙なスタンプ……。

カエル、帰る、仕事が終わった意味と受け取り、羊のスタンプで返事をした。今度は《了解》と素っ気ない返事が届いたので、スマホアプリにナビを頼み新居を目指す。


「えっ、なにこれ」

帰宅して真っ先に驚いた。広々とした玄関先に、大きなブーケが飾られていたのだ。ブラウンとオレンジの柔らかい色合いにバルーンがアレンジされた可愛い花束は、バルーンに《Happy wedding》とプリントされているし、ポストカードには《枢木社長♡羊さん》と、ご丁寧に私の名前まで記入されている。

「それ、うちの社員から」

リビングに続く扉からあきくんがやって来ると、そう説明し、スリッパを出してくれた。

「すごく綺麗……」

「特注で用意してくれたらしい」

淡々とした説明の裏側に、女性の影が浮かぶのは、このブーケがあまりにもオシャレで可愛らしいからだ。

可愛い女の子が手配したんだろうな……。

あきくんの会社のホームページを見たことがある。さすがのスタートアップ企業、オフィスは明るく自由な社風。勤務しているのも、若い子が多く見受けられた。
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