ハッピーエンド・オーバー
あきくんが用意したご飯はローストビーフだった。一時間半で用意出来るのか甚だ疑問だ。

「赤ワインとシャンパン、どっちにする?」

悩ましい選択を委ねられ、赤ワインを選び椅子に座る。ワインの底にクロスを添わせ、片手で持ちグラスに注ぐその仕草こなれていてなんだかずるい。

乾杯をしてワインに口をつけた。まろやかで酸味が気にならず、とても美味しいワインだ。

「このワイン、どうしたの?」

「義弟からの結婚祝」

ふうん、人望があるんですね。

先程の嫌味かと思いながら食事を口に運んだ。朝も思ったそれが確信に変化する。料理の腕前がプロ級だ。私が食事を用意する日がちょっとプレッシャーである。

「そういえば、服。この辺着れそう?」

食事の後片付けを二人で終わらせると、あきくんがあるファッションブランドのショッパーを渡した。薄い紙地に包まれたブラウスとカットソーは、フリルとパールがあしらわれたとても可愛らしいトップスだった。

「ねえ、可愛いすぎない?私に似合うかな!?」

「似合う似合う」

「あきくんが用意したの?」

羽仁(はに)

「羽仁が?」

であればこの可愛さは納得だ。あきくんの妹である羽仁は、女の子が求める可愛さをぎゅうっと詰め込んだ女の子だからだ。
< 35 / 41 >

この作品をシェア

pagetop