ハッピーエンド・オーバー
「ゆ、指輪は、いらない……!」
指輪ってアクセサリーの中でも特別だと思う。記念日やイベント、なにか理由を付随させて送られる、大事にすべきアクセサリー。
恋人から貰うのさえためらうものを、あきくんから?おそろしい、よりももったいなくてもらえない。
「言うと思った」
あきくんは私の反応を見越していたようで、くすりと微笑むと立ち上がり、そのまま自室へと戻った。入浴の準備でもするのだろう。
ふう、と脱力させてずるずるとソファーに沈んでいると、あきくんの部屋のドアがガチャっと音を立てた。もう帰ってきたらしい。
「はるってピアスあけてたよな」
しかも一体、なんの確認だ。
練習させろと言って、高校三年生の夏、問答無用で私の耳に穴を開けたのはだれだ。まさか忘れているの?
「自分で開けたんでしょ?」
「そうだった、忘れてた」
あきくんはそう言って、私の髪の毛をさらりとかき分け右耳を露わにすると、その人差し指で耳環をなぞった。
「……え、な、なに……」
私の耳を大事そうに触れるあきくんの指。つめたい金属が耳に触れて、かすかな刺すような感覚。耳朶をゆるりと撫でられると、まるで心臓をやさしく撫でられているような、そんな感覚に陥る。
何をされたのか、理解するのは早かった。
あきくんはインカメラにしたスマホを私に渡すと、自分の髪を掻き分け、左耳を見せた。
「これを指輪の代わりにしよう」
私の右耳、それからあきくんの左耳に鎮座するのは、大きなダイヤモンドが目を引くお揃いのピアスだ。
指輪ってアクセサリーの中でも特別だと思う。記念日やイベント、なにか理由を付随させて送られる、大事にすべきアクセサリー。
恋人から貰うのさえためらうものを、あきくんから?おそろしい、よりももったいなくてもらえない。
「言うと思った」
あきくんは私の反応を見越していたようで、くすりと微笑むと立ち上がり、そのまま自室へと戻った。入浴の準備でもするのだろう。
ふう、と脱力させてずるずるとソファーに沈んでいると、あきくんの部屋のドアがガチャっと音を立てた。もう帰ってきたらしい。
「はるってピアスあけてたよな」
しかも一体、なんの確認だ。
練習させろと言って、高校三年生の夏、問答無用で私の耳に穴を開けたのはだれだ。まさか忘れているの?
「自分で開けたんでしょ?」
「そうだった、忘れてた」
あきくんはそう言って、私の髪の毛をさらりとかき分け右耳を露わにすると、その人差し指で耳環をなぞった。
「……え、な、なに……」
私の耳を大事そうに触れるあきくんの指。つめたい金属が耳に触れて、かすかな刺すような感覚。耳朶をゆるりと撫でられると、まるで心臓をやさしく撫でられているような、そんな感覚に陥る。
何をされたのか、理解するのは早かった。
あきくんはインカメラにしたスマホを私に渡すと、自分の髪を掻き分け、左耳を見せた。
「これを指輪の代わりにしよう」
私の右耳、それからあきくんの左耳に鎮座するのは、大きなダイヤモンドが目を引くお揃いのピアスだ。