ハッピーエンド・オーバー
以降、枢木晃仁との関係に変化がもたらされることはなかった。

専門学生の頃、枢木晃仁は帰省する度に私の家に来て、「昨日飲みすぎた、寝せて」なんて言いながらベッドで休んでいた。自分の家で寝ればいいのに「妹がうるさい」などと理由をつけて。

枢木晃仁は毎年誕生日になると《誕生日おめでとう》と、彼女かなんだかしらないけれど、女の子と仲良さそうな写真付きのメッセージを送ってきた。

《あきくんも、今年も健康的で何より》

ふざけているのだと思って、ふざけた返信をした。本当に、ふざけたほど充実した日々を送っていてなによりである。

専門学校を卒業した私はインテリア関係のデザイン事務所に就職し、それと同時に一人暮らしを始めた。手取りが少ないので住む場所には一苦労したけれど、仕事は楽しいし、健全な恋愛もできてきるし、充実した日々を過ごしている。

ちなみに大学を卒業した枢木晃仁はシェアリングエコノミーの分野でスタートアップ企業を立ち上げ、順当に規模を拡大させていると風の噂で聞いた。

随分素晴らしい人に成長したらしい。
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