道具屋の看板娘、冒険者名は『死神』です。アイテム過剰購入冒険者にムカつきますが、ギルマスにはイヤな奴だと思われたくありません
ギルドマスターは、ラヴィーネの静かだが、凛とした詠唱に聞き惚れていた。

ーー先ほどまで見えなかったトラップ、壁の歪み、ひび割れた柱ーーこんなに異変があるなんて

「これでは、いつ崩れてもおかしくありませんわ」

「2人ではどうにもなりませんね、これは。戻って対策、それとギルド本部への報告が必要ですね」

ギルドマスターはマップを指ではじき、クルクル巻いてリュックに入れた。

「ラヴィーネさん。残念ですが今日の調査は、ここまでです。戻りますよ」

「はい」

ギルドマスターはスッとラヴィーネの手首を掴んだ。

「しっかり掴まっていてください。危険なので、転送アイテムを使います」

有無を言う間もなく、ギルドマスターはラヴィーネのからだを胸に密着させた。

「行きますよ」

ラヴィーネはドキドキしている胸の音が、ギルドマスターに聞かれていないかと、冷やひやした。

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