この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
ローストビーフを渡すついでにあらためて礼を言おう。
そう思って高史郎のところへ戻ったが彼はまた別のお偉いさんにつかまっていて話しかけることができなかった。
手元の料理がもったいないので、遠慮して箸が進んでいない様子の若手ドクターたちにすすめることにする。
輪のなかに入っていくとあちこちで交わされる雑談が聞こえてきた。
「今日の講演はよかったな。ここだけの話、瀬田准教授ってあんまり話がうまくないだろう? 冗長だし、すぐに自分の自慢話を挟むしさ」
「あぁ。今日のは原稿を丸投げしたって話だぞ。上司のサポートも仕事のうちだとかなんとか言って」
環のなかで、すでに底値だった瀬田の株がますます大暴落した。
(ちょっと見直したと思ったのに別の人が考えてたのね)
瀬田の名前で出す論文ではないので別に問題にはならないのかもしれないが、ちょっと卑怯じゃないだろうか。
「原稿は誰が書いたんだ?」
「要先生だってさ」
「道理で! 要先生、論文の評価も高いもんな~。患者からは『怖い』って時々クレーム入るけど」
あははと笑いながら若手ドクターふたりはその場から離れていった。
そう思って高史郎のところへ戻ったが彼はまた別のお偉いさんにつかまっていて話しかけることができなかった。
手元の料理がもったいないので、遠慮して箸が進んでいない様子の若手ドクターたちにすすめることにする。
輪のなかに入っていくとあちこちで交わされる雑談が聞こえてきた。
「今日の講演はよかったな。ここだけの話、瀬田准教授ってあんまり話がうまくないだろう? 冗長だし、すぐに自分の自慢話を挟むしさ」
「あぁ。今日のは原稿を丸投げしたって話だぞ。上司のサポートも仕事のうちだとかなんとか言って」
環のなかで、すでに底値だった瀬田の株がますます大暴落した。
(ちょっと見直したと思ったのに別の人が考えてたのね)
瀬田の名前で出す論文ではないので別に問題にはならないのかもしれないが、ちょっと卑怯じゃないだろうか。
「原稿は誰が書いたんだ?」
「要先生だってさ」
「道理で! 要先生、論文の評価も高いもんな~。患者からは『怖い』って時々クレーム入るけど」
あははと笑いながら若手ドクターふたりはその場から離れていった。