この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
(あの講演内容、考えたのは要先生だったんだ)
瀬田と反比例で彼の株価はぐんと上向いた。それは認めざるを得ない。
ホテルを出ると各々が自身の帰途につく。
環は高史郎の背中を捜して夜の街を見回した。
(もう帰っちゃったかな?)
招待客であるドクターとホストである環たちMR。
当然、会場を出るのは自分たちがあとになるから高史郎はとっくにこの辺りから遠ざかっている可能性が高い。
彼の性格から考えても、ダラダラと立ち話なんてしていないだろうし。
それでも未練がましく視線をさまよわせていたら目当ての横顔を見つけることができた。
ペットボトルのお茶に口をつけながら雑踏をぼんやりと見つめている。
「要先生!」
見つけることができた嬉しさからか、思っていたより大きな声が出てしまった。
彼は振り返り、少し驚いたように目をみはる。
「あぁ、君か。おつかれ」
「お、おつかれさまです」
淡い橙色の街灯に照らされた柔らかな笑みが返ってくる。
「要先生は電車ですか? 地下鉄?」
「そう、あっちだ」
彼が視線で示した行き先は環と同じだった。ふたり並んで歩きながら話をする。
「あの!」
「ん?」
瀬田と反比例で彼の株価はぐんと上向いた。それは認めざるを得ない。
ホテルを出ると各々が自身の帰途につく。
環は高史郎の背中を捜して夜の街を見回した。
(もう帰っちゃったかな?)
招待客であるドクターとホストである環たちMR。
当然、会場を出るのは自分たちがあとになるから高史郎はとっくにこの辺りから遠ざかっている可能性が高い。
彼の性格から考えても、ダラダラと立ち話なんてしていないだろうし。
それでも未練がましく視線をさまよわせていたら目当ての横顔を見つけることができた。
ペットボトルのお茶に口をつけながら雑踏をぼんやりと見つめている。
「要先生!」
見つけることができた嬉しさからか、思っていたより大きな声が出てしまった。
彼は振り返り、少し驚いたように目をみはる。
「あぁ、君か。おつかれ」
「お、おつかれさまです」
淡い橙色の街灯に照らされた柔らかな笑みが返ってくる。
「要先生は電車ですか? 地下鉄?」
「そう、あっちだ」
彼が視線で示した行き先は環と同じだった。ふたり並んで歩きながら話をする。
「あの!」
「ん?」