この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
(やっぱりダメだ。要先生といると学生時代の私に戻っちゃう気がする)
今日は大事な仕事の席なのに。〝できる女〟のイメージが台なしになってしまいそうだ。
(あぁ、もう!)
白いお皿にローストビーフを数枚のせて上に和風ソースをかける。
「えぇ? ですが要先生が……」
そんな声が聞こえて顔をあげると、細長いテーブルを挟んだ向こう側に瀬田がいた。
その隣にいる白髪の紳士が緑邦大病院の院長だ。院長が首をかしげて言う。
「要先生の勘違いだろう。私は君を呼んでなどいないよ」
不要だと告げられてしまった瀬田はがっくりと肩を落としている。
(え? さっきの話は要先生の作り話なの?)
『俺は院長に頼まれて彼を捜していただけだよ』
高史郎がそんな嘘をつく理由、ひとつしかないだろう。
(私を助けるための嘘だったってこと?)
それならそうと言ってくれたらよかったのに。
軽く口をとがらせつつも環の胸のなかにはじんわりと温かなものが広がった。
セクハラ対応くらいは慣れたものだが、それでも不愉快には違いない。だからこそこういう優しさが染みる。
今日は大事な仕事の席なのに。〝できる女〟のイメージが台なしになってしまいそうだ。
(あぁ、もう!)
白いお皿にローストビーフを数枚のせて上に和風ソースをかける。
「えぇ? ですが要先生が……」
そんな声が聞こえて顔をあげると、細長いテーブルを挟んだ向こう側に瀬田がいた。
その隣にいる白髪の紳士が緑邦大病院の院長だ。院長が首をかしげて言う。
「要先生の勘違いだろう。私は君を呼んでなどいないよ」
不要だと告げられてしまった瀬田はがっくりと肩を落としている。
(え? さっきの話は要先生の作り話なの?)
『俺は院長に頼まれて彼を捜していただけだよ』
高史郎がそんな嘘をつく理由、ひとつしかないだろう。
(私を助けるための嘘だったってこと?)
それならそうと言ってくれたらよかったのに。
軽く口をとがらせつつも環の胸のなかにはじんわりと温かなものが広がった。
セクハラ対応くらいは慣れたものだが、それでも不愉快には違いない。だからこそこういう優しさが染みる。