この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
環はぴたりと足を止める。
それに気づいた彼がこちらに首を振る。
「どうした?」
「要先生! 私、聞きたいことが……」
いざ勇気を出そうとするとそう簡単にはいかない。
なにせ十年間も忘れられず熟成させてきてしまった問いかけなのだから。
息を詰めて、速まる鼓動を落ち着けた。さぁ!というところでまさかの事態が起きた。
――グウゥゥ。
環のおなかの虫が大きな声で鳴いたのだ。
(な、なんで今?)
脱力感と羞恥心で膝から崩れ落ちそうになる。ありえない間の悪さを呪いたくなった。
高史郎は真顔のまま固まっている。
「わ、笑っていいですよ。むしろ笑ってもらえるほうがありがたいといいますか……」
赤く染まった頬を両手で押さえながら環は言ったけれど、彼は笑ったりしなかった。
「なにが食べたい?」
「へ?」
想定外の質問に調子の外れた声が出た。
高史郎は申し訳なさそうな顔で後頭部の髪をくしゃりと乱す。
「考えたら、俺たちがのんきに食べたり飲んだりしている間も環は忙しそうに動き回っていたもんな。腹が減るに決まってる」
「いや、それは主催者側として当然の仕事なので」
それに気づいた彼がこちらに首を振る。
「どうした?」
「要先生! 私、聞きたいことが……」
いざ勇気を出そうとするとそう簡単にはいかない。
なにせ十年間も忘れられず熟成させてきてしまった問いかけなのだから。
息を詰めて、速まる鼓動を落ち着けた。さぁ!というところでまさかの事態が起きた。
――グウゥゥ。
環のおなかの虫が大きな声で鳴いたのだ。
(な、なんで今?)
脱力感と羞恥心で膝から崩れ落ちそうになる。ありえない間の悪さを呪いたくなった。
高史郎は真顔のまま固まっている。
「わ、笑っていいですよ。むしろ笑ってもらえるほうがありがたいといいますか……」
赤く染まった頬を両手で押さえながら環は言ったけれど、彼は笑ったりしなかった。
「なにが食べたい?」
「へ?」
想定外の質問に調子の外れた声が出た。
高史郎は申し訳なさそうな顔で後頭部の髪をくしゃりと乱す。
「考えたら、俺たちがのんきに食べたり飲んだりしている間も環は忙しそうに動き回っていたもんな。腹が減るに決まってる」
「いや、それは主催者側として当然の仕事なので」