この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 あの日以来、環はファミレスならなんとなくこの店を選ぶようになっていた。

(いや、味が一番いいからって理由もあるし!)

 誰に突っ込まれたわけでもないのにそんな言い訳をしつつ、高史郎が開けてくれたガラスの扉からなかへと入る。

 ハンバーグののったロコモコ丼にふたりでシェアする用のサラダとシーフードのフリット、そしてドリンクバー。

 環はハーブティーを、彼はアイスティーにたっぷりとガムシロップを入れている。

「要先生って意外と甘党ですよね」

 学生時代もわりと甘いドリンクを好んでいた記憶がある。

「慣れないことをすると疲れる。疲れると糖分が欲しくなるんだ」

 慣れないこととは慰労パーティーを指しているのだろう。

 環はクスクスと笑って「ここ、パフェもおいしいですよ」とすすめたが、さすがにそこまではと断られてしまった。

 パフェと高史郎という似合わない組み合わせを見てみたかったのに。

 最初は仕事の話をしていたけれど、だんだんと話題も砕けていく。

 どちらかといえば彼が聞き役、けれど好きな話題になると急に口数が増えるのもあの頃と同じだった。
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