この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
「さすがに学生の頃ほどは映画館に通えなくなりましたね~。でも今でも結構観ているほうかな?とは思います」

 映画は今でもよく観るのか?と聞かれて、環はそんなふうに答えた。

「ほら、私たちの世代は仕事に加えて結婚、出産、育児とかプライベートも忙しくなる時期でしょう?」

 三十代前半はもっとも趣味に費やす時間が少なくなる、というようなデータをどこかで見た覚えがある。

「そういうのにさっぱり縁がない私は、月に一度くらいは映画館に行けてしまうんですよ」

 自虐を交えた笑い話として語ると、彼はパチパチと目を瞬いた。

「環が結婚に興味のないタイプとは知らなかった。少し意外だな」

「興味はあっても残念ながら縁がないんです」

 環が背を向けているわけではない、運命のほうがこちらにほほ笑みかけてくれないのだ。

「社会人になって今年で八年目、仕事は多少の自信もついてきたけれど……恋愛は難しいですね」

「まぁ、わかる」

 しんみりと愚痴をこぼすと実感のこもった相づちが返ってきて、思わずプッと噴き出してしまった。

「失礼だな、君は」
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