この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
四章 一線を越えた先に
四章 一線を越えた先に
「いや、それはもう間違いないでしょ」
「やっぱり、そうなのかなぁ」
氷が溶けてすっかり薄まったハイボールのグラスをもてあそびつつ環は煮えきらない返事をした。
いつもの女子会、今日の会場は『安く酔える』で有名なとある横丁。数年前まではもう少し女性らしいオシャレな店を選んでいた気がするのだけど、いつの間にか店のチョイスが会社の上司たちと同じセンスになってきていることに一抹の不安を覚える。
高史郎と再会してからの自身の感情の不安定ぶりを親友たちに打ち明けたら単純明快な答えを示された。
つまり、それは恋だと。
ひとりでウダウダ考えているときは違うような気もしていたのに、こうやってきっぱり言葉にされるとそのとおりかもしれないという気分になってくる。
胸がドキドキとうるさく騒いだり、無意識に目で追ってしまったり、妙に必死になったり、そういう変化はすべて彼といるときにしか起きないものだ。
(私はまた要先生に恋をしている……ってこと?)
「とにかく、今さらなんかじゃないからね! ていうか男と女の間に今さらなんて単語は存在しません。きっかけさえあればいつでも燃えあがる、それが恋よ」
恋愛体質の麻美が文豪のような台詞を言い放てば、萌香もうんうんと同意する。
「いや、それはもう間違いないでしょ」
「やっぱり、そうなのかなぁ」
氷が溶けてすっかり薄まったハイボールのグラスをもてあそびつつ環は煮えきらない返事をした。
いつもの女子会、今日の会場は『安く酔える』で有名なとある横丁。数年前まではもう少し女性らしいオシャレな店を選んでいた気がするのだけど、いつの間にか店のチョイスが会社の上司たちと同じセンスになってきていることに一抹の不安を覚える。
高史郎と再会してからの自身の感情の不安定ぶりを親友たちに打ち明けたら単純明快な答えを示された。
つまり、それは恋だと。
ひとりでウダウダ考えているときは違うような気もしていたのに、こうやってきっぱり言葉にされるとそのとおりかもしれないという気分になってくる。
胸がドキドキとうるさく騒いだり、無意識に目で追ってしまったり、妙に必死になったり、そういう変化はすべて彼といるときにしか起きないものだ。
(私はまた要先生に恋をしている……ってこと?)
「とにかく、今さらなんかじゃないからね! ていうか男と女の間に今さらなんて単語は存在しません。きっかけさえあればいつでも燃えあがる、それが恋よ」
恋愛体質の麻美が文豪のような台詞を言い放てば、萌香もうんうんと同意する。