この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
「一線……そこも大きな課題だった」
万が一、高史郎ともう一度うまくいったとしても自分はそのハードルにまたつまずきやしないだろうか。
不安に表情がこわばる環に麻美がらしくない優しい声をかけてくれる。
「そういうのも含めて、ぜんぶさらけ出してみればいいのよ。すべてが綺麗な恋なんてお伽話のなかにしか存在しない。現実の恋は人間同士がするんだから、傷つけたり傷つけられたりして普通なんだよ」
「傷つけたり、傷つけられたり?」
「うん。相手の弱さや醜さを知ってそれでも愛おしいって思えたときに現実の恋はフィクションを越えるの!」
「おぉ、初めて麻美の恋愛論に感銘を受けたかも」
ちゃかす萌香に麻美は渋い顔を向ける。
「私の渾身の演説を聞いても、萌香はフィクションの男にしか興味を示さないじゃない」
「彼らは私の世界ではちゃんと生きてるです~」
いつもどおり話題は気ままに移り変わっていき、萌香の推しアニメの三期放送が決まったというニュースに行き着く。
ふたりの賑やかな会話に耳を傾けながら環はひとつの決意を固めた。
(今度こそ素直になってみよう)
万が一、高史郎ともう一度うまくいったとしても自分はそのハードルにまたつまずきやしないだろうか。
不安に表情がこわばる環に麻美がらしくない優しい声をかけてくれる。
「そういうのも含めて、ぜんぶさらけ出してみればいいのよ。すべてが綺麗な恋なんてお伽話のなかにしか存在しない。現実の恋は人間同士がするんだから、傷つけたり傷つけられたりして普通なんだよ」
「傷つけたり、傷つけられたり?」
「うん。相手の弱さや醜さを知ってそれでも愛おしいって思えたときに現実の恋はフィクションを越えるの!」
「おぉ、初めて麻美の恋愛論に感銘を受けたかも」
ちゃかす萌香に麻美は渋い顔を向ける。
「私の渾身の演説を聞いても、萌香はフィクションの男にしか興味を示さないじゃない」
「彼らは私の世界ではちゃんと生きてるです~」
いつもどおり話題は気ままに移り変わっていき、萌香の推しアニメの三期放送が決まったというニュースに行き着く。
ふたりの賑やかな会話に耳を傾けながら環はひとつの決意を固めた。
(今度こそ素直になってみよう)