この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
「実はもうすぐ結婚するんです。だから奥さんの仕事も任せたいって頼ってくれて」

 だけど恋人について語る彩芽の瞳はキラキラと輝いていて、とても幸せそうだ。

(恋愛に口出しするのは余計なお世話すぎるよね)

 自戒して、環はチーフとして伝えるべきことだけに焦点を絞る。

「おめでとう! 結婚は心から祝福する。でも仕事には影響が出ないよう気をつけてね。勤務状況に関することは当然、派遣会社さんのほうにも報告がいくから」

 彩芽自身も困ることになる、そこは理解してほしい。そんなふうに話を締めた。

 口調も言葉も特別厳しくしたつもりはないが、彩芽は拗ねた子どものようにうつむいてしまった。

「彩芽ちゃん?」

「仕事はもういいんです!」

 キッと、思いがけず激しい瞳を向けられて環はわずかにひるむ。

「どうせ私は派遣ですから。がんばったって評価されないし、社員にもしてもらえません。正社員でチーフっていう立派な肩書きのある速水さんとは……違います」
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