この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 いやに回りくどい前置きをしてから彼は環の顔をのぞく。

「なにかあったのか?」

「え?」

「新薬の正式検討、君にとっては念願だっただろうしもっと嬉しそうな顔が見られるかと思っていたんだが……」

 残念そうな顔と声で彼はそう言った。

「も、もちろん心から喜ばしいと思っていますよ!」 

 今日の話は本当に嬉しかった。それは嘘ではないけれど彩芽の一件が心に引っかかり満面の笑みは出てこなかったのだ。

「すみません、反応が薄くて」

「別に責めるつもりはない。ただ、その……なんだ」

 前髪をくしゃりと乱しつつ彼は言葉をにごす。その不器用な態度に環の胸はほっこりとする。

「心配してくれているんですか?」

「先に言っておくと気のきいたアドバイスができるかはわからない。ただ話を聞くくらいなら俺にもできる」

 高史郎の優しさは冬の朝の毛布みたいだ。落ち込んだ気持ちをふんわりと包んで温めてくれる。

 昨日の彩芽とのやり取りを彼に打ち明けた。自分の不甲斐なさを吐き出せただけでも少し心が軽くなる。
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