この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
「そうじゃなくて」と環は彼の言葉を遮った。

高史郎は少し驚いたように目を瞬く。

「MRとしてではなく速水環として、要くんに話があるの」

 今はあえて『先生』と呼ばなかった。そこに込めた思いは、はたして彼に伝わっただろうか。

 翌日、彩芽と少し話をした。

彼女の選んだ道を尊重する。ただし、遅刻やあきらかにやる気のない態度はこれまで築いてきた信用を失うもったいない行為だということも言い添えた。

本当は……彩芽が正社員になってずっとここで仕事を続けてくれたら嬉しい。自分だけでなくチームのみんなもそう思っているはず。

そのことも伝えたかったけれど、今の彼女には負担にしかならない気がしたので黙っておいた。

「はい、わかりました」

 小さく答える彼女の瞳はなにかに迷うに揺れていた。

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