この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 それから数日後のふたりの休みが重なった日曜日。

初夏らしい爽やかな気候で、頭上の太陽はまぶしいほどに輝いている。

 環は約束の午後二時より十五分も前に待ち合わせの場所に到着した。

鏡張りになった駅ビルの壁面に浮かれた自分の姿が映っている。胸元はVネック、袖はフレアになっている優しいアイボリーカラーのワンピース。

ファッションが得意ではない環は甘辛バランスを取ったり、テイストをミックスさせたりするのがうまくできない。

今日はちょっと女性らしさに寄りすぎてしまった気もする。

(気合い入れすぎって思われるかな? 髪もまとめるより、おろしたほうがよかった?)

 ささいなことが気にかかってしまうこの情緒不安定ぶり。自分がどっぷりと恋にはまっていることを実感する。

 十五分待つ間に浮き立つ心を落ち着けようと思っていたのに、ほんの数分で彼がやってきた。

「悪い、待たせたか?」

「い、いえ。私が早く来すぎただけですから」

 高史郎は白いカットソーの上にネイビーの麻のジャケット、濃いベージュのパンツという装いだ。

学生時代とは違う大人な雰囲気にドキリとした。

 互いに「これはデートなんだろうな」という共通認識は持っているものの、具体的なプランは相談していなかった。

誘った側である自分が責任を持つべきだろうと環は切り出す。
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