この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
『男の考える〝脈あり〟は大抵外れてるけど、女のそれはほぼ正解だから』

(信じるからね、麻美)

 今日は絶対に逃げずにがんばる、環はもう一度自分に誓いを立てた。

 世界的にも人気がある浮世絵師の企画展なだけあって美術館は大盛況だ。

でも騒がしいくらいのほうが自分の心音が気にならなくていいかもしれない。

「要先生が美術に造詣が深いとは知りませんでした」

「造詣ってほどのもんじゃないが、この画家は祖父が好きで家に画集があったりしたから懐かしくて」

「おじいさんと仲がいいんですね」

 ドクターになったきっかけも祖父だと言っていた。マイペースで頑固な高史郎の人生に大きな影響を与えた人物のようだ。

「俺は祖父に育てられたからな」

「えっ、ご両親は海外暮らしとかですか?」

 高史郎は育ちがよさそうな雰囲気があるのでそういう可能性もありそうだ。だが、彼は静かに首を横に振った。

「ふたりとも俺が子どもの頃に亡くなっている。車の事故だった」

「……そうだったんですね」
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