この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 バラバラと音を立ててプロペラが回る。

 ヘリの機体はゆっくりと上昇し、都会の夜空に浮かんだ。

「なるほど。ヘリのなかではこうやって会話をするんですね」

 横並びに座った環と高史郎は耳にマイクつきのヘッドセットを装着している。

 ヘリの内部はエンジンやプロペラの回る音がうるさく会話が困難なので、ヘッドセットが必需品なのだそう。

「そういえば救急科のドクターからそんな話を聞いたことがあったな」

「フライトドクターですね!」

 ヘリに乗って救命救急を行うフライトドクター。緑邦大病院には専用ヘリポートも設置されている。

 ヘッドセットのおかげで高史郎の声ははっきりとクリアに聞こえる。

(むしろ耳元でささやかれているみたいでドキドキするかも)

「……東京も見おろすぶんには綺麗な街だな」

 彼らしい皮肉のきいた感想に環はクスリとする。

「本当に」

 キラキラときらめく地上の星に視線を落とし、しばし無言で見惚れていた。

 無数の人間が行き交うこの街で高史郎と出会い、別れ、そして再会した。

 それはとてつもない奇跡のように思える。その奇跡を運命に変えたい、そう強く思う。
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