この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
「夜景を観るために女性とヘリに乗る日が来るなんて想像もしていなかった。人生はおもしろいな」

 じみじみと高史郎がつぶやく。窓の外に顔を向けていた環はそっと彼を振り返る。

「柄にもないことをしたなって思ってますか?」

「あぁ、ものすごくな。でも――」

 視線がまっすぐに刺さった。高史郎は時々こういう目をする。

 少年のように無邪気で情熱があふれるような瞳。そのたびに環は落ち着きなくうろたえてしまう。

「君が喜んでくれているみたいだから、らしくないことをした甲斐もあった」

「はい! ものすごく楽しいです」

 ヘリや夜景ももちろん素敵だけれど一番はそこじゃない。

 高史郎とロマンティックなデートをしている、その事実が環の気分をどこまでも高揚させていた。

 十五分のクルージングを終えて地上に帰ってくる。

 そこからの道のりはふたりとももうなにも語らなかった。

 言葉はいらない、きっと同じ気持ちでいる。

 心地よい夜風に誘われるように、どちらからともなく手を繋いだ。

 自分よりずっと骨ばった彼の感触を指の間で感じ取る。体温がゆっくりと交ざり合って溶けていく。
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