この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
「うん」

 支離滅裂になりながらも言葉を紡ぐ環に高史郎は優しくうなずく。

「男の人からしたら、つまらなかったりかわいくなかったりする反応しかできないかもしれません。それでも、私を受け入れてくれますか?」

 高史郎の大きな手がさらりと環の頭を撫でた。

 子どもにするような手つきだったのは、環をおびえさせないための彼の優しさだろう。

「どんな反応でも君がするならかわいい。十年前も……あまりにもかわいいから、理性が飛んで突っ走ってしまった。今夜は気をつける」

 自身をいましめるように彼はきっぱりと言い切った。

 あの夜の自分は石像みたいに固まってうなるような声しか出せなくて、不感症と評されても仕方がないような反応だったと思う。

 でも彼はそんな自分も『かわいい』と言ってくれた。

 そのひと言だけで恐怖はずいぶんと遠ざかる。

「あぁ、けど」

 高史郎はクスッと唇を緩めて付け加えた。

「嫌はいいけど、無理はできたら控えてほしいな。あれはこう心にズシンと致命傷が入るから」

 真面目な顔でぼやく彼と約束する。

「はい。〝無理〟は禁句にしますね」

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