この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 彼の右手に支えられながら環の背中はゆっくりと沈む。

 几帳面にピシッと整えられた白いシーツの上に長い黒髪が広がる。

 子猫がじゃれ合うようなキスを繰り返し、高史郎はたっぷりと時間をかけて環の緊張をほぐしていった。

「あっ」

 環の口から甘い声が漏れたのを確認してからキスをもう一段深める。

 ぬるりとした舌が環のそれに絡みつく。強弱をつけて吸われると頭の芯がじんと痺れるような心地がした。

「ふっ、うん」

 耐えきれずこぼれた環の吐息に煽られて、高史郎の動きからためらいが薄れていく。

 かつては彼が見せたこの雄の顔を怖いと思った。

 もちろん今だって多少は怖い。

 けれど高史郎が自分を求めてくれている。それを嬉しく思う気持ちがわずかに恐怖を上回った。

 環もいくらかは大人になったのかもしれない。

 だんだんと彼の唇と肌に慣れて応える余裕が生まれてくる。

 差し入れられる彼の舌を不器用ながらも舐め返してみた。

「んっ」
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