この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
「アスティーさんの、君の後任で来たMRなんだけど……ちょっと困ってて。なにかと理由をつけては贈答品を渡してこようとするんだよ」
製薬会社が贈りものや接待でドクターに気に入られ売上を伸ばす。そんな過去の悪習は患者の利に反するということで今は業界内のルールで規制されている。
「まぁグレーゾーンの範疇なのかもしれないけど、うちみたいな地域密着の個人病院は信用第一だからさ。速水さんからそれとなく言っておいてくれないかな?」
「はい。弊社の人間がご迷惑をおかけして申し訳ありません。後任の者に必ず申し伝えます」
「よろしくね」
(先生の病院の後任はたしか……菊池さんだわ)
武人の爽やかな笑みが脳裏に浮かぶ。
このところの彼の成績はとても好調らしいが、それを維持するためにやや危ない橋を渡ろうとしているのかもしれない。
社に戻ってからも環はう~んと頭を悩ませていた。
(上の人間に告げ口みたいなマネはしたくないし、かといって私が直接菊池さんに話すのも……偉そうになってしまうかなぁ)
中途入社組の彼は環より年上で、部下でも後輩でもない。彩芽の件の反省もあり、どこまで関わっていいのか迷ってしまう。
製薬会社が贈りものや接待でドクターに気に入られ売上を伸ばす。そんな過去の悪習は患者の利に反するということで今は業界内のルールで規制されている。
「まぁグレーゾーンの範疇なのかもしれないけど、うちみたいな地域密着の個人病院は信用第一だからさ。速水さんからそれとなく言っておいてくれないかな?」
「はい。弊社の人間がご迷惑をおかけして申し訳ありません。後任の者に必ず申し伝えます」
「よろしくね」
(先生の病院の後任はたしか……菊池さんだわ)
武人の爽やかな笑みが脳裏に浮かぶ。
このところの彼の成績はとても好調らしいが、それを維持するためにやや危ない橋を渡ろうとしているのかもしれない。
社に戻ってからも環はう~んと頭を悩ませていた。
(上の人間に告げ口みたいなマネはしたくないし、かといって私が直接菊池さんに話すのも……偉そうになってしまうかなぁ)
中途入社組の彼は環より年上で、部下でも後輩でもない。彩芽の件の反省もあり、どこまで関わっていいのか迷ってしまう。