この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
(でも、伝えるって先生と約束しちゃったしな)
環は意を決して席を立ち、武人のもとに向かう。
アスティー製薬はよくも悪くも古い体質の残る企業だ。
新卒入社組を優遇する傾向があり中途入社で出世するのは難しいとも聞く。
そういう事情もあるから武人も必死なのだろう。彼の向上心や努力は環もよく知っている。
(ルール違反で評判を落とすような事態は菊池さんのためにもならないよね)
武人は自分のデスクで椅子に座りキーボードを叩いていた。
「菊池さん」
上からの意見にならないよう気をつけながら話をする。
「え、あの先生そんなこと言ってた? まいったな、ジョークのつもりだったのに」
どういうジョークなのかはよくわからないけれど、ルールはきちんと認識している様子だった。
ならばこれ以上は自分がとやかく言うことでもない。
「それならいいんです。差し出がましい口をきいてすみませんでした」
「いやいや、心配してくれてありがとね」
いつもの彼らしい爽やかな笑みを浮かべたあと、スッと彼の瞳が色をなくした。
「けど」
環は意を決して席を立ち、武人のもとに向かう。
アスティー製薬はよくも悪くも古い体質の残る企業だ。
新卒入社組を優遇する傾向があり中途入社で出世するのは難しいとも聞く。
そういう事情もあるから武人も必死なのだろう。彼の向上心や努力は環もよく知っている。
(ルール違反で評判を落とすような事態は菊池さんのためにもならないよね)
武人は自分のデスクで椅子に座りキーボードを叩いていた。
「菊池さん」
上からの意見にならないよう気をつけながら話をする。
「え、あの先生そんなこと言ってた? まいったな、ジョークのつもりだったのに」
どういうジョークなのかはよくわからないけれど、ルールはきちんと認識している様子だった。
ならばこれ以上は自分がとやかく言うことでもない。
「それならいいんです。差し出がましい口をきいてすみませんでした」
「いやいや、心配してくれてありがとね」
いつもの彼らしい爽やかな笑みを浮かべたあと、スッと彼の瞳が色をなくした。
「けど」