この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
「ありがとうございます。また不具合が起きたら連絡しますね」
そんなふうに話しながら、彩芽は彼をエレベーターの乗り場まで見送りに行く。
来客の見送りはエレベーターの扉が閉まるまでという社内ルールに従ってのことだ。
戻ってきた彼女に環はねぎらいの言葉をかけた。
「彩芽ちゃん、イレギュラー対応ありがとうね」
「いえ。今日はほかに急ぎの仕事もなかったので……」
自分と話すのはまだ気まずいのだろう。以前に向けてくれていたような笑顔はない。
それをほんの少し寂しく思っていると、「あの、速水さん。少しいいですか?」と彩芽が妙に硬い声で言った。
人目を避ける目的でやってきた給湯室で彼女の話を聞く。
「え? さっきの営業さんが?」
「はい。彼の対応はいつも私がしているのですがそのたびに……」
しつこくデートに誘ってきたり連絡先を交換しようと言ってきたり、困っているのだそうだ。
「この前は速水さんに嫌な態度をとったのに、こんなときばかり頼ってすみません」
申し訳なさそうに彼女はうつむく。その瞳に浮かぶ罪悪感は本物に見えた。
そんなふうに話しながら、彩芽は彼をエレベーターの乗り場まで見送りに行く。
来客の見送りはエレベーターの扉が閉まるまでという社内ルールに従ってのことだ。
戻ってきた彼女に環はねぎらいの言葉をかけた。
「彩芽ちゃん、イレギュラー対応ありがとうね」
「いえ。今日はほかに急ぎの仕事もなかったので……」
自分と話すのはまだ気まずいのだろう。以前に向けてくれていたような笑顔はない。
それをほんの少し寂しく思っていると、「あの、速水さん。少しいいですか?」と彩芽が妙に硬い声で言った。
人目を避ける目的でやってきた給湯室で彼女の話を聞く。
「え? さっきの営業さんが?」
「はい。彼の対応はいつも私がしているのですがそのたびに……」
しつこくデートに誘ってきたり連絡先を交換しようと言ってきたり、困っているのだそうだ。
「この前は速水さんに嫌な態度をとったのに、こんなときばかり頼ってすみません」
申し訳なさそうに彼女はうつむく。その瞳に浮かぶ罪悪感は本物に見えた。