この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
彩芽のいるシティホテルまでは走れば十分もかからなかった。
エントランスの自動ドアを抜けてロビーに飛び込んだ環は肩で息をしながら彼女の姿を捜す。
金曜日の夜なのでそれなりに混雑しているが客は男性ばかりで彩芽を見つけるのは難しくなさそうだ。
それなのに彼女の姿はどこにもない。
「え、どこに行っちゃったの?」
これだけ人目のある場所でストーカーが彼女をさらって逃げたなんてことはさすがにないだろう。
環は辺りを動き回る。
「あっ」
肝心の彩芽は見つからないのに意外すぎる人物と遭遇した。
フロントから少し奥まったエレベーター乗り場の前に緑邦大病院、准教授の瀬田がいたのだ。
「やぁ、こんばんは。速水さん」
「どうも。偶然ですね。けれど、すみません」
とても急いでいる、そう伝えて話を切りあげようとする環の肩に彼はいきなり腕を回してきた。
生温かい彼の吐息が耳にかかり、ゾワッと鳥肌が立つ。
「なるほど、なるほど。これは偶然、そういう設定なわけだね」
(な、なにを言ってるの、この人?)
瀬田の頭がどうかしてしまったんだろうと思い、環は困惑に目を瞬く。
エントランスの自動ドアを抜けてロビーに飛び込んだ環は肩で息をしながら彼女の姿を捜す。
金曜日の夜なのでそれなりに混雑しているが客は男性ばかりで彩芽を見つけるのは難しくなさそうだ。
それなのに彼女の姿はどこにもない。
「え、どこに行っちゃったの?」
これだけ人目のある場所でストーカーが彼女をさらって逃げたなんてことはさすがにないだろう。
環は辺りを動き回る。
「あっ」
肝心の彩芽は見つからないのに意外すぎる人物と遭遇した。
フロントから少し奥まったエレベーター乗り場の前に緑邦大病院、准教授の瀬田がいたのだ。
「やぁ、こんばんは。速水さん」
「どうも。偶然ですね。けれど、すみません」
とても急いでいる、そう伝えて話を切りあげようとする環の肩に彼はいきなり腕を回してきた。
生温かい彼の吐息が耳にかかり、ゾワッと鳥肌が立つ。
「なるほど、なるほど。これは偶然、そういう設定なわけだね」
(な、なにを言ってるの、この人?)
瀬田の頭がどうかしてしまったんだろうと思い、環は困惑に目を瞬く。