この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
(心機一転地元に帰って、小さな製薬会社で働くのも悪くないかも)
東京を離れてしまえば悪い噂が追いかけてくることもないはずだ。
そこまで考えて、環はグッと下唇を噛んだ。
本当は腹が立って仕方ない。自分をおとしいれた武人や彩芽が憎いし、このまま黙って終わらせるなんて悔しくてたまらない。
でも環が騒げば騒ぐだけ高史郎や自分が担当していたドクターたち、それに新薬普及のために力を尽くしてきた緑邦大病院チームのメンバーに迷惑がかかる。
そう思うと声をあげるのもためらわれた。
「はぁ」
やるせないため息をついて環は目の前の資料にまた意識を向け直した。
めったに人が訪れることのない資料室に四人もの人間が押しかけてきたのはその日の夕方のこと。
「速水チーフ!」
今は武人のもとで仕事をしているはずの緑邦大病院チームのみんなだった。
「えっ……全員揃ってどうしたの? というか今の私はチーフじゃないし」
いつもならみんなまだ病院回りをしているはずの時間だ。
「それに私にはもう関わらないほうがいいよ。知ってて黙ってたのか?とかって、みんなまで疑われちゃうかもしれないから」
東京を離れてしまえば悪い噂が追いかけてくることもないはずだ。
そこまで考えて、環はグッと下唇を噛んだ。
本当は腹が立って仕方ない。自分をおとしいれた武人や彩芽が憎いし、このまま黙って終わらせるなんて悔しくてたまらない。
でも環が騒げば騒ぐだけ高史郎や自分が担当していたドクターたち、それに新薬普及のために力を尽くしてきた緑邦大病院チームのメンバーに迷惑がかかる。
そう思うと声をあげるのもためらわれた。
「はぁ」
やるせないため息をついて環は目の前の資料にまた意識を向け直した。
めったに人が訪れることのない資料室に四人もの人間が押しかけてきたのはその日の夕方のこと。
「速水チーフ!」
今は武人のもとで仕事をしているはずの緑邦大病院チームのみんなだった。
「えっ……全員揃ってどうしたの? というか今の私はチーフじゃないし」
いつもならみんなまだ病院回りをしているはずの時間だ。
「それに私にはもう関わらないほうがいいよ。知ってて黙ってたのか?とかって、みんなまで疑われちゃうかもしれないから」