この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 四人を追い出そうと立ちあがった環に、みんなが口々に声をかける。

「助けに来たに決まってるじゃないですか!」

「私たちは速水チーフがそんなことしたなんて信じていませんから」

「……みんな」

 思わずホロリと涙がこぼれそうになって、慌てて目尻に手の甲を押し当てる。

「ありがとう。でもその気持ちだけでもう十分だから」

「チーフを信じているのは僕たちだけじゃないですよ。社内にほかにもたくさんいますから。専務なんて、うちの部長のいいかげんな調査にカンカンで」

「専務が?」

 今の専務は環が入社して最初に配属された部の部長だった人だ。すごく厳しいけれど曲がったことは絶対に認めない頼りがいのある女性だった。環にセクハラ対応策を伝授してくれたのも彼女だ。

 その専務が環を信じてきちんと調査すべきじゃないか?と声をあげてくれたらしい。

「社内だけじゃありません。緑邦大病院のドクターも来てくれています」

「え……来てくれているって?」

「速水さんの冤罪を部長に直訴しに来たんですよ! とにかく一緒に来てください」
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