この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 状況がよくのみ込めないままに、先日部長と武人から糾弾されたのと同じ応接室に環は足を踏み入れた。

 前回とは違い部長は下座側に座っている。その隣にはイラ立った様子の武人もいる。

 彼らに相対しているのは……。

「要先生?」

 目線をあげて環を認識した彼は、どこかいたずらっぽく口元を緩めた。

(どうして要先生が?)

「とりあえず速水さんは座りなさい。君たちは一旦……」

「いいえ、私たちも同席させてください」

 チームのみんなはそう強く主張して室内に残った。

 環は当事者として武人の隣に腰をおろす。ほかのみんなは立ったまま話を見守ることに決めたようだ。

 部長は高史郎に顔を向け、戸惑ったような声で問いかける。

「つまり要先生はうちの速水は罠にはめられた、そうおっしゃりたいわけですね」

「えぇ。根拠も今からきちんとご説明します」

 高史郎は感情を交えずに淡々と語る。

「まず、瀬田准教授は彼女に呼び出されてあのホテルに行ったと主張していますが……医局の通話記録を確信したところ真実は少し違いました」

「通話記録?」

 オウム返しにつぶやく部長に高史郎はうなずいてみせる。
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