この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
あのときは環の言い逃れと決めつけた様子だった部長も、今はほんの少し迷いが生じたようだ。
チームのみんなもそれを察したのか、ここぞとばかりに主張する。
「菊池さんと藤原さんは……付き合っているんだと思います。私、社内でふたりがキスをしているところ見たことあるんです」
「ふたりが組んで速水チーフをおとしいれた、その可能性も考えられるとは思いませんか?」
「菊池さんは速水チーフをずっとライバル視していました。とくに今回の新薬の件では悔しい思いをしていたはずですよね」
「うっ、いや、しかしなぁ」
部長はハンカチを取り出し、こめかみを拭う。
次の瞬間、バンッという強い音が部屋に響き渡った。武人がテーブルを叩き立ちあがったのだ。
「いいかげんにしてくださいよ」
彼はいやに芝居がかった仕草で肩を落とす。
「瀬田准教授に電話をしたことは認めます、〝速水さんに頼まれた〟のでね。けれど、それ以外はただの妄想じゃないか。探偵ごっこなら業務時間外に勝手にやってくれ」
話は終わりとばかりに扉に向かう彼の背を高史郎の静かな声が刺す。
「もちろん証拠はありますよ」
「ならそれを持ってきてから……」
チームのみんなもそれを察したのか、ここぞとばかりに主張する。
「菊池さんと藤原さんは……付き合っているんだと思います。私、社内でふたりがキスをしているところ見たことあるんです」
「ふたりが組んで速水チーフをおとしいれた、その可能性も考えられるとは思いませんか?」
「菊池さんは速水チーフをずっとライバル視していました。とくに今回の新薬の件では悔しい思いをしていたはずですよね」
「うっ、いや、しかしなぁ」
部長はハンカチを取り出し、こめかみを拭う。
次の瞬間、バンッという強い音が部屋に響き渡った。武人がテーブルを叩き立ちあがったのだ。
「いいかげんにしてくださいよ」
彼はいやに芝居がかった仕草で肩を落とす。
「瀬田准教授に電話をしたことは認めます、〝速水さんに頼まれた〟のでね。けれど、それ以外はただの妄想じゃないか。探偵ごっこなら業務時間外に勝手にやってくれ」
話は終わりとばかりに扉に向かう彼の背を高史郎の静かな声が刺す。
「もちろん証拠はありますよ」
「ならそれを持ってきてから……」