この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
のんびりした口調で萌香がつぶやいた。その言葉尻にかぶせるように環は噛みつく。
「ない、全然そんなんじゃないから」
思い合っていたけれど泣く泣く別れてしまったふたりの再会なら萌香の言うロマンティックな展開もありえるかもしれない。けれど、自分たちは違う。
「そうかなぁ」
そこで妙に冷静な声を挟むのは麻美。恋愛強者らしい、悟ったような目で環を見る。
「正直さ、私は環から彼の話を聞くたびに……あぁ、忘れられない男なんだなって思ってたよ」
絶対に図星なんかじゃないのに、環はいやに焦って早口になる。
「忘れられないのは最低な記憶だからで、別に恋心では……」
「本当にそう? ほら、前にも言ったことあったよね。一線を越えなかった男ほど、妙に記憶に残って気になっちゃうものだって」
その麻美の言葉を今度は萌香が引き取った。
「あ~、わからなくもないかも。男性側にもありそうな心理だよね」
賛同者を得て麻美は自分の説にますます強気になる。
「でしょ~? ねぇ、環」
おもしろいネタを見つけてキラキラと輝く麻美の瞳が環をつかまえる。
「思いきって一線、越えてみたら?」
「は?」
「ない、全然そんなんじゃないから」
思い合っていたけれど泣く泣く別れてしまったふたりの再会なら萌香の言うロマンティックな展開もありえるかもしれない。けれど、自分たちは違う。
「そうかなぁ」
そこで妙に冷静な声を挟むのは麻美。恋愛強者らしい、悟ったような目で環を見る。
「正直さ、私は環から彼の話を聞くたびに……あぁ、忘れられない男なんだなって思ってたよ」
絶対に図星なんかじゃないのに、環はいやに焦って早口になる。
「忘れられないのは最低な記憶だからで、別に恋心では……」
「本当にそう? ほら、前にも言ったことあったよね。一線を越えなかった男ほど、妙に記憶に残って気になっちゃうものだって」
その麻美の言葉を今度は萌香が引き取った。
「あ~、わからなくもないかも。男性側にもありそうな心理だよね」
賛同者を得て麻美は自分の説にますます強気になる。
「でしょ~? ねぇ、環」
おもしろいネタを見つけてキラキラと輝く麻美の瞳が環をつかまえる。
「思いきって一線、越えてみたら?」
「は?」