この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
思い出がここで終わっていれば、あのふたりの期待するロマンティックな再会になったのかもしれない。
でも甘酸っぱい記憶には最悪の続きがある。
〝不感症のつまらない女〟
実際にこの耳で聞いたわけではないのに、いつの間にか環の脳内でその台詞は彼の声で再生されるようになっていた。
彼が貼った自分へのレッテル、こればかりは麻美と萌香にも打ち明けていない。
ふたりには自分の初体験未遂は散々なもので、その相手とは最悪の終わり方をしたと話しただけ。
もし環からこの顛末を聞いていたら、麻美だって彼との関係をあんなふうに茶化したりはしなかったと思う。
(別にあのふたりに内緒にする必要はないんだけどね)
それでも誰にも言えなかった。言葉にしたら自分がどれだけのダメージを受けるか、容易に想像できたから。
(だって要くんは、私が初めて〝好き〟だと思った人。胸がドキドキしすぎると苦しくなることを教えてくれた人だから……)
初恋に浮かれてのぼせきっていたからこそ、絶望もまた深かったのだ。そこから一歩も動けなくなってしまうほどに――。
でも甘酸っぱい記憶には最悪の続きがある。
〝不感症のつまらない女〟
実際にこの耳で聞いたわけではないのに、いつの間にか環の脳内でその台詞は彼の声で再生されるようになっていた。
彼が貼った自分へのレッテル、こればかりは麻美と萌香にも打ち明けていない。
ふたりには自分の初体験未遂は散々なもので、その相手とは最悪の終わり方をしたと話しただけ。
もし環からこの顛末を聞いていたら、麻美だって彼との関係をあんなふうに茶化したりはしなかったと思う。
(別にあのふたりに内緒にする必要はないんだけどね)
それでも誰にも言えなかった。言葉にしたら自分がどれだけのダメージを受けるか、容易に想像できたから。
(だって要くんは、私が初めて〝好き〟だと思った人。胸がドキドキしすぎると苦しくなることを教えてくれた人だから……)
初恋に浮かれてのぼせきっていたからこそ、絶望もまた深かったのだ。そこから一歩も動けなくなってしまうほどに――。