この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 階段の途中で同じサークルの、自分よりずっと熱心に活動している女の子とすれ違う。
「あ、速水さん。もうすぐOB総会なんだけど参加できそう?」
「そっか、もうそんな季節だね」
 緩いサークルではあるけれど一応大学の公認サークルなので二年に一度OB総会と呼ばれる儀式があって、これだけは原則全員参加なのだ。普段さぼってばかりの環もこの会ばかりは欠席できない。彼女はホッとした様子で笑顔を見せた。
「ありがとう、助かる! 四年生はなにかと忙しいから欠席が多くて困ってたの」
 普通の学部生は就職予定の企業の集まりなども多い時期だから欠席せざるを得ないケースも多いのだろう。
(要くんはどうするんだろう?)
 彼は医学部生なので就職を控えているわけではないが、なんとなく不参加っぽい気もする。彼のことを考えながら部室の扉を開けたらなかに当の本人がいたので焦ってしまう。
「あ、えっと、おつかれさま」
 落書きだらけの木目のテーブル、すぐにお尻の痛くなるベンチタイプの椅子。窓際の一番奥にいた彼が分厚い医学書から顔をあげ、こちらを向く。
「おつかれ。座れば?」
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