この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
「私もまだ悩んでる、かな?」

 環の父は小児科医として小さなクリニックを経営していて、母は看護師としてそれを手伝っている。

 そんなふたりを見て育ったから、漠然と自分も医療の世界で働くのだろうと思っていた。

 薬学部を選んだのは数ある医療職のなかで一番勉強が楽しいと思えたからだ。

 薬学部生の一番多い進路はもちろん薬剤師、病院の薬剤部や薬局で働く。

「私、真面目できっちりしているのだけが取り柄だから薬剤師という仕事は合ってると思うんだ……でもね」

「ん?」

 この話を打ち明けていいのものか、少し迷う、実は両親にも親友にも話したことがないから。

「呆れないで、聞いてくれる?」
「それは聞かないとわからない」

 彼らしい返答に苦笑しつつ環は言う。

「私の一番好きな映画、『ディアサンシャイン』なんだけど観たことある?」

「あぁ、男女のコンビがベンチャー企業を成功させていくやつ? 会話劇がおもしろかったな」

「そう、それ!」
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