この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
「じゃあ俺も参加する」

 その言葉に環は目を見開いた。

(い、今の『じゃあ』はどこにかかっているの?)

 普段活動しない罪滅ぼしのところだろうか? 彼は環以上に欠席が多いから文脈としておかしくはない。 

(それとも……私が出席するという部分?)

 その妄想が頭をよぎった瞬間、世界が甘やかな色に塗り変えられた気がした。 
 
ちっとも清潔ではない部室がパステルカラーに色づいて、目の前にいる高史郎がキラキラと輝いて見えた。

(あ、あれ? どうしてこんなにドキドキしているんだろう)

 十二月。

 クリスマスが近づくと、甘かったり切なかったりする恋愛ソングがあちこちで流れ出すのは恒例のこと。

 これまではメロディーラインをなんとなくなぞるだけで歌詞なんてうろ覚えだった曲も今年はなぜか歌詞の意味をじっくり考えて深くうなずいたりしている。

(これってやっぱり、そういうこと?)

 認めてしまって楽になりたいような、まだそうするのが怖いような……複雑な感情を環は持て余していた。
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