この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 そう頼んでみようと幹事の姿を探して店を出る。

 今日の居酒屋は雑居ビルの三階に入っていて、狭いエレベーターは混雑していたために環は階段を使うことにした。

 一歩おりたところで背中に「速水ちゃん」と声をかけられた。

 今日やけに熱心に話しかけてくれていた、映画製作でなにかの賞を取ったという彼だ。

「あぁ、おつかれさま……え?」

 環のところまでフラフラと歩いてきた彼が突然、その場にへなへなとかがみ込む。

「だ、大丈夫? 飲みすぎ?」

 自分と話をしていた時点では頬を赤らめていた程度だったが、あのあと彼はOBの先輩につかまっていた。強いお酒でも飲まされたのかもしれない。

「お水、買ってこようか?」

「いやぁ、もう動けそうにないから……タクシー止めてくれると助かる」

 薬剤師資格を取ろうと勉強している人間として体調不良の人間を放っておくわけにはいかない。

 環は彼に肩を貸し、大通りまで一緒に出てタクシーを探す。手をあげたら、すぐに一台のタクシーが目の前まで来てくれた。

「じゃあ気をつけてね」

 ひとりで自宅に帰るのだろうと思ってそう言うと「え?」ととぼけた声が返ってきた。
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