この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 高史郎は冗談を言う人間ではない。それが伝わったのだろう。

「その女がなぁ、俺に気がありそうだったから誘ってやったんだよ。勘違いすんなよ!」

 反抗期の中学生みたいな捨て台詞を吐いて、彼はタクシーで帰っていった。

 ほぅと胸を撫でおろす環に高史郎が一瞥を送ってよこす。 

「……もしそうだったのなら、邪魔をしたか?」

 その質問の意味が理解できず環の脳内に疑問符が浮かぶ。

「もしそうだったのなら……って、私が彼に気があるって話? ない、それは絶対にないから」

 なにせ、いまだに名前も思い出せないのだから。

「そうか」

 言った彼の口元はほんのりと緩んでいるように見えた。

「そもそも、私が嫌がっているとわかったから助けてくれたんじゃないの?」

「そう見えたんだが色恋沙汰に関しては俺の目は節穴の可能性も高い。だいいち、君を助けたつもりもないし」

 そっけない返事に環の乙女心がシュンとしぼんでいく。

(まぁ、要くんらしいといえばらしいけど)

「じゃあ、どうして?」
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