この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 互いの吐息が交じり合って、冴えた夜空に溶けていく。

 高史郎の部屋はいかにも男子学生のひとり暮らしといった雰囲気だった。

 小さなキッチンに六畳より少し広いリビング兼寝室。インテリアはグレーを基調にしたシンプルなもので、きちんと整理整頓されているところも彼らしい。

 弟以外の男性の部屋に入るのは初めての経験だけど、今の環に彼の部屋をじっくり観察する余裕はなかった。

 予想していたよりずっと性急に高史郎が自分を抱き締めたからだ。

「あっ」

 角度を変えながら熱い唇が幾度も触れる。 
 
 決して乱暴ではなく、とても優しいキス。ゆっくりと差し入れられた舌が環のそれをからめ取って吸いあげる。

「ふぅ、んっ」

 頭のなかがとろけて、膝から力が抜けていく。崩れ落ちそうになる環の腰を彼が抱き止めてくれる。

「平気?」

 そう聞かれて小さくうなずいたものの……なにが平気でなにが平気じゃないのか、自分でもわからない。

 緊張と高揚でまともに物を考えることなどできなくなっている。
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