この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 振り絞った強がりも最後まで紡ぐことができない。

 彼とうまくいく幸せな未来がこの手からすべり落ちてしまった。それがただただ寂しかった。


 二週間後。

 学内の中庭のベンチに腰掛け、環は通学用の大きなトートバッグからスマホを取り出す。

 何度確認しても同じ。高史郎からのメッセージも着信も残ってはいない。


『連絡する』という彼の言葉だけが淡い希望だったけれど、そろそろ絶望に変わりつつあった。

 連絡がないだけならまだしも、こちらから送ったメッセージも未読のままなのだ。

(そりゃこっちもひどいことを言ったけど、でも謝罪のメッセージを読んでもくれないなんて……)

 あの夜の自分の態度はそんなにもありえないものだったのだろうか? 

 ワンナイトラブの経験などない環にはわからない。

(私がもっと上手に振る舞えていたら、今頃は恋人になれてたりしたのかな)

 その後悔の念がますます環の表情を曇らせる。

「はぁ」

 大きなため息をこぼした背中に「お、速水さん!」という陽気な声がかけられた。

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