この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 割り込んできたのはサークル内でも一番の美女と言われている女の子、()()だった。

 同じ四年生だけどほとんど喋ったこともなかったので彼女が自分の名前を知っていたことに環は驚く。

 彼女はかばってくれているのか一緒に笑っているのか、どちらとも取れるような曖昧な笑みを浮かべている。

「なんだよ、優実。いい子ぶって」

「私はいい子だも~ん! ほら、先に行ってて」

 優実と彼らは仲がいいようだ。なんやかんやと言い合いながらも楽しそうにしている。

 彼らの背中を押して先に行かせてから、彼女は環の隣に座った。

「あの、ありがとう」

 優実の内心はどうあれ、不愉快な状況から救ってもらったのは事実なので礼を言った。

「男って子どもよね。ああいう話、大好きなんだから……気にすることないと思うよ~」

 環にとっては、子どもだからで許せるものじゃなかったし気にするなと言われても無理だった。

(どこからあんな話が出たの? あちこちで広まっていたらどうしよう)

 男女のことに疎い自分でも『不感症』の言葉の意味くらいは知っている。


 環にそれを言える人物がいるとすれば、思い当たるのはひとりだけ。
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