この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 彼女の暗い顔がどうしても気になってしまい、環は席を立ち彩芽のもとに向かう。

 彼女もチームの一員。なにか悩みがあるなら話を聞くべきだろうと考えたからだ。

 書類仕事を頼むついでにさりげなく水を向ける。

「今日は元気がないように見えるけどなにかあった?」

 彩芽はハッとして環を見つめる。その瞳にはすがるような色が浮かんでいた。

「私でよければ話くらいは聞くよ」

 小さくうなずいてくれたので、環は空いている打ち合わせスペースに彼女を誘導した。

 彩芽がよく飲んでいる缶のミルクティーを渡しつつ自分も向かいに腰をおろす。

 たっぷりの沈黙のあとで、彩芽がおずおずと切り出した。

「あの、三か月くらい前に隣の課に新しい派遣の方が入りましたよね? すごく優秀そうな……」

「あぁ、あのハキハキした子ね」

 課が違うのであまり言葉を交わす機会はないが元気いっぱいの快活な子だ。学生時代はテニス部だったという自己紹介を聞いて、ものすごく納得した覚えがある。

 年齢は彩芽と同じくらい。でも性格は真逆の印象を受ける。

「彼女がどうかしたの?」

「それが、その……」
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