君の心に触れる時
春香を抱きかかえた蓮は、一刻も早く救命処置を施す必要性を理解していた。
だが、医者としての冷静さを保つことはできず、ただ愛する人を失う恐怖だけが頭を支配する。
「誰か!誰か助けてくれ!」
蓮は病院の廊下を全力で駆け抜けながら叫んだ。
ちょうど近くにいた看護師たちが彼の声を聞きつけ、すぐにストレッチャーを持って駆けつけた。
春香の顔は青白く、まるで生気を失ったように見えた。蓮はその姿を見て、心臓が引き裂かれるような思いに駆られる。
「頼む、春香、死ぬな…!」
春香は微かに息をしているものの、その呼吸は浅く、不規則だった。蓮の手の中で、彼女の体温が少しずつ下がっていくように感じる。