君の心に触れる時
数時間後、手術室の扉がゆっくりと開き、疲労の色を浮かべた蓮が姿を現した。
その表情は硬く張り詰めていたが、彼の背後から聞こえる機械音が、春香の命が繋がっていることを示していた。
待合室で祈るように座っていた智己が立ち上がり、蓮に近づく。
「どうだった?」
智己が慎重に尋ねる。
蓮は深く息を吐きながら、低い声で答えた。
「危なかった。でも…助かったよ。もう少し遅れていたら、今頃…」
言葉が途切れ、蓮の手がわずかに震えているのがわかった。智己は彼の肩を軽く叩き、言葉を掛けた。
「よくやったな。お前が諦めなかったから、春香はまだ生きてる。」
蓮は静かに頷いたが、胸の中に渦巻く感情は整理しきれないままだった。
彼はそのまま春香が眠る病室へ向かった。