君の心に触れる時


春香の病室は静かで、彼女の顔は穏やかだった。
まるで眠っているだけのように見えるが、蓮にはそれがどれだけ危うい均衡の上にある命かがわかっていた。


蓮は彼女の横に座り、しばらく何も言わずにただ彼女の顔を見つめていた。
その手をそっと握ると、わずかに冷たさが残る彼女の指先が、かすかに動くのを感じた。

「春香…」

蓮の声は微かに震えていた。

その瞬間、春香のまつげがかすかに動き、彼女は薄く目を開けた。蓮の顔を認めると、か細い声で呟いた。

「…蓮…?」

蓮は涙を堪えながら、彼女の手を強く握りしめた。

「お前、俺をどれだけ怖がらせれば気が済むんだよ…!何してたんだ、春香。」

春香の目にじわりと涙が浮かぶ。

「…ごめん、もう…どうしていいかわからなかったの。」


「わからないからって、自分を傷つけるな!俺を置いて行こうとするな!」

蓮は怒りを込めた声でそう言い放つが、その瞳には深い悲しみが浮かんでいた。
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